１４号（２００７年３月）掲載

　教育の秩序と効果を維持し，教育の目的を達成するために行われる懲戒のうち，身体的性質を帯びているものを体罰という。体罰による懲戒は学校教育法第11条で禁止されている。これには，直接身体に対する侵害となるものと肉体的苦痛を与えるものが含まれる。
　どのような懲戒を体罰というかは，法務省の見解では①殴る，蹴るなどの直接身体の侵害となるもの，②正座，端座などの特定の姿勢を長時間に保持させて肉体的苦痛を与えるもの，③トイレに行かせないなどの生理的な苦痛を与えるものなどが含まれる。これらは被罰者の年齢，健康状態，場所，時間などの環境条件から，ケースに応じて個別に判断される。なお，文科省は，いじめ問題などの教育再生会議の審議結果を受け，教室で立たせる，教室外に退去させるなどの行為を容認する方向を明らかにしている。