107号（２０２２年９月）掲載

　公立の中学校で、夜の時間帯に授業が行われる学級のことをいう。戦後の混乱期、昼間に中学校へ通うことが困難な人に対して、公立中学校の二部授業という形で夜間中学が設置された。昭和30年頃には、全国で80校以上設置されていたが、令和２年には、10都府県に34校になっている。戦後の混乱期に義務教育を修了できなかった人に加え、いわゆる中国残留孤児の人や、親の仕事などによって来日したものの日本の学齢期を経過していた人、そして不登校のためにほとんど学校に通えず、実質的に義務教育を受けられなかった人など、夜間中学のニーズが広がっている。
　平成28年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立し、全ての地方公共団体に、夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務付けられている。夜間中学に在籍している人は、10代から60歳以上まで多様である。全国にある自主夜間中学と異なり、中学校の卒業証書を得られる。