５５号（２０１４年１月）掲載

　過去に県知事が全国学力・学習状況調査の県内上位の小学校の校長名を発表し，その是非をめぐって全国的にも大きな話題となった。これに対し，文部科学省は来年度以降，学校別の結果公表を自治体の判断に委ねることとして，各自治体の判断を尊重する姿勢をとってきている。
　現在のところ，学校別の結果公表には，それぞれの立場によって意見が分かれている。各地域や保護者にとっては，学力調査の公表は国民の知る権利を満たすうえで必要な措置だとの主張に対し，もし保護者が，学力調査の学区別成績に拘るあまりに，近視眼的な対策を学校に求めるようになれば，各校の自主的な教育活動を拘束する結果を招くとの学校側の主張もある。今回の専門家会議のまとめは，学校の序列化が懸念される中で意見の調整を図ったものと受け止められる。