４２号（２０１１年１１月）掲載

　教員免許の修士レベル化の問題は，平成９年に設置された「教育職員養成審議会大学院等特別委員会」の審議にさかのぼる。この特別委員会は「修士課程を積極的に活用した教員養成の在り方について（中間報告）」を平成10 年6 月に公表した。この時期は，全国の各学校で依然としていじめ問題や不登校，児童生徒の暴力・非行などが頻発する状況にあり，報告では「……現職教員が自らの教育実践を適切に理論化することや最新の研究成果に基づく理論を教育実践の中に効果的に生かすことなどが可能となるよう，高度かつ充実した内容の再教育を現職教員に施すことが必要である」と提言した。この趣旨に照らし，現職の教員を大学院で再教育することによって教育実践の質を高めていこうとする施策につながっていった。全国の各大学で「教職大学院」が設置され始めたのはこのころである。
　その後，教員免許資格そのものを修士レベルに引き上げるという方向に流れ，現在，関係団体などからさまざまな意見が寄せられるようになっている。