３５号（２０１０年９月）掲載

　幼稚園は就学前の子どもを通わせる教育施設であり，保育所は家庭が保育できにくい子どもを収容する児童福祉施設である。今日の少子化時代の中にあって，育児サービスの多様化に伴って生じている様々な問題点を解決するため，幼稚園と保育所の一元化を図ろうとする施策が「幼保一元化」である。民主党政権では，これを「幼保一体化」と称して政策課題に取り上げている。
　この課題の歴史的経緯は古い。近年では，2006 年に「就学前の子どもに関する教育・保育等の総合的な提供の推進に関する法律」が制定され，幼保一体化施設として「認定子ども園」制度がスタートした。また，すでに全国に「幼保一元化に関する構造改革特別区域」を認定して，この問題の解決に向けた一定の努力
がなされてきた。しかし，根拠法の違い，備えるべき施設・設備の違い，幼稚園教諭と保育士の資格の違い，給食等の対応の違いなど，今なお解決すべき課題は多いといえる。