研究報告書を紹介しています。
公開日:2025年3月24日
1人1台端末やクラウド環境といったデジタル学習基盤を活かした学習者主体の学びへ向けた授業改善は重要なテーマであり、各地でさまざまな実践が試みられている。しかしながら、現在報告されている実践の多くは、どのような実践を行ったのかという結果の報告がほとんどであり、どのような過程を経てきたのか、教師はどのような足場かけを行ってきたのか、というプロセスまで詳細に分析されているものは多くはない。これらのプロセスが可視化されることはデジタル学習基盤を活かして学習者主体の学びを実現したいと考える教師にとって参考になると考えられる。
本研究の取りかかりとして、学習者主体の学びとはどのような学びなのかという目線を合わせるために、「課題(めあて)の設定」など6項目からなる「学習者主体のスケール」を開発した。また、児童生徒の学びの自走へ向けてどんな足場を用意すればよいのか、その足場はいつ外すのかといったことを捉えるために、「認知的徒弟制モデル」を用いた。そして、どの時期に、どのような支援を行ってきたのか、その際の留意点は何かについて各研究員の実践で具体的に検証した。(東研研究報告 No.371)
公開日:2025年3月24日
令和5年度は学習指導要領に基づく2度目の小学校用教科書の採択が行われ、本年度から使用が始まった。令和6年度は、中学校用教科書も同じく2度目となる採択が行われた。新たな教科書では、学習指導要領の趣旨を踏まえ、児童生徒の学習意欲が高まり理解が深められるよう改善され、数多くのデジタルコンテンツが用意されている。
本研究委員会では、令和5年度の研究報告で、新たな小学校用教科書内デジタルコンテンツの効果的な指導のあり方について実践、考察し報告書にまとめた。令和6年度は、令和7年度使用の中学校用教科書内のデジタルコンテンツの活用とそれに関連する小学校の教材やデジタルコンテンツの活用についても実践、考察しまとめることにした。(東研研究報告 No.370)
公開日:2025年3月24日
外国人児童は乳幼児期から日本語母語話者と比較し、母語も第二言語である日本語も習得に不利な状況にある。しかし、言語能力はあらゆる学習の基礎であり、人格形成にも大きな影響を及ぼすことが指摘されている。特に話し言葉から書き言葉、生活言語から学習言語への移行期は母語話者においても難しさがあるが、外国人児童においては特につまずきやすい。
そこで本研究では,乳児期の語彙獲得や言語感覚、幼児期の集団の中での話し言葉、小学校での学習言語への移行、中学校でのより抽象的な概念の理解と将来への見通しといった保幼小中それぞれの時期の言葉の育ちの特徴と、その言葉の力を伸ばす外国人児童のための連続性ある日本語指導の在り方について事例を通して検討する。(東研研究報告 No.368)
公開日:2025年3月17日
本誌は,学習者用デジタル教科書の活用を中心としたICT活用に関する最新の情報についてまとめた情報誌です。2024年度より、タイトルを「GIGAスクール構想第2期に向けて」とし、構成も一部変更しました。
タイトル変更後第3号となる今号では、広瀬一弥先生(日本デジタル教科書学会 会長、亀岡市みらい教育リサーチセンター 指導主事)による巻頭言に続いて、教科書内デジタルコンテンツ等を活用した授業記録である「My Lesson Log」(小学校国語・小学校算数・小学校道徳・中学校英語・中学校書写・中学校技術)、プログラミング教育の今(小学校理科における実践紹介と、中学校技術における活用の提案)、生成AI活用の今(大阪市教委の取り組みと、大阪市立中学校における実践紹介)、リーディングDXスクール指定の学校紹介と、多彩な情報を掲載しています。
公開日:2024年3月25日
今年度は現行学習指導要領に基づく2度目の小学校教科書の採択が行われ、来年度、令和6年度から新しい教科書の使用が始まる。新たな教科書では、現行の教科書に比べ、学習指導要領の趣旨を踏まえ、児童の学習意欲が高まり理解が深められるよう改善されたデジタルコンテンツ(以下、Dマーク)が用意されている。このDマークにより、児童生徒自身が端末上で数学的活動や基礎基本の定着のための練習等をすることができる。いわば「主体的な学び」を可能とするはずだが、学校での活用はいまだに十分とは言えないようである。このような状況から、本研究委員会では、令和3年度の東研研究報告No.343で、教科書内Dマークの効果的な指導の在り方について実践、考察し報告書にまとめたが、来年度使用の新しい教科書に用意されているDマークの活用について改めて実践しまとめる必要があると考え、本報告書にまとめた。 (東研研究報告 No.364) 2024~2027(令和6~9)年度用教科書に準拠。
公開日:2024年1月29日
GIGAスクール構想により、1人1台端末と高速ネットワークが学校に整備された。2020年からの2年間は、いかに端末に慣れるか、授業にどう取り入れるのか、などが話題の中心であった。しかし今後は、これらの環境を活用して、いかに学習者中心の学びを作っていくかが重要となる。一方で、学習者主体の学びは教師のこれまでの授業観を変容させる必要もあり、難しさが伴うことが指摘されている。また、デジタル教科書やクラウドツールなど、新たな学習リソースが活用できるなかでこれらを取り入れた学びをどのようにデザインしていけばよいのかについての知見は十分ではない。そこで、我々は、研究者と現場教員とで研究チームを組織し、これまでの授業の課題点を洗い出し、その課題点に対する改善策を具体的な授業デザインの形で提案することとした(6事例)。また、実践を通じた評価を行い、授業デザインの有効性を示すことを試みた。(東研研究報告 No.363)
公開日:2023年3月30日
中央教育審議会では「『令和の日本型教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現~(答申)」がとりまとめられた。その中で、新たに学校における基盤ツールとなるICTも最大限活用しながら、多様な子供たちを誰一人残すことなく育成する「個別最適な学び」と、子供たちの多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実が求められるとされている。しかしながら学校現場ではこれらの学びの捉え方や具体的な指導の在り方が十分理解され取り組まれているとは言い難い面があるように感じる。そこで、本研究では、一昨年度から取り組んでいる「主体的な学び」を実現させる算数・数学の授業づくりに、学校のICT活用の現状等を踏まえ、教材等の多様な活用やその学びに対応する指導方法について、授業実践を通して明らかにすることにした。(東研研究報告 No.353)
公開日:2022年3月30日
新学習指導要領に基づいて編集された新しい教科書には、児童・生徒の学習意欲を高めたり理解を深めたりできるように、教科書の内容に合わせたデジタルコンテンツが用意されている。このデジタルコンテンツにより、児童・生徒が自分の端末上で数学的な活動や基礎基本の定着のための練習等をすることができる。いわば主体的な学びを可能とするものであるが、実際、現場ではあまり活用されていないようである。そこで、本研究では、このような状況を踏まえ、昨年度から取り組んでいる「主体的な学び」を実現させる算数・数学の授業づくりに、教科書のデジタルコンテンツをどのように活用したら効果があるか、授業実践を基に探るとともに、より効果的なデジタルコンテンツについての実践を試みた。(東研研究報告 No.343)
公開日:2021年4月26日
新学習指導要領における評価の在り方については,平成31年に文科省から観点別学習状況の評価等の改善についての通知が出された。また,令和2年に「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」が国立教育政策研究所において作成・公表された。これらにより,指導と評価の一体化が進められ,改訂の基本的な考えの一つである「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を通して,教科における資質・能力の確実な育成がより具体的に進められると考えられる。しかし,これまでも「指導と評価の一体化」はその重要性が叫ばれていたが,実践的な研究は十分とは言えない。そこで,これからの社会を生き抜くための学びの一つとして「主体的な学び」を実現するためには,どのように指導と評価を一体化するか,言い換えれば,効果的な指導と評価サイクルを取り入れた授業づくりが必要であると考え,本研究テーマを設定した。小・中学校各2編,計4編の授業実践の構想と記録,考察を掲載している。(東研研究報告 No.332)
公開日:2020年4月3日
昨年度の東研研究報告書(No.312)では「主体的・対話的で深い学び」を実現する算数・数学の授業改善に向け,まず深い学びの姿を明らかにし,それを促す「主体的・対話的」で効果的な指導を探ってきた。その際,「事象を数理的に捉えて,算数(数学)の問題を見いだし,問題を自立的,協働的に解決する過程を遂行する」数学的活動を通して取り組む必要があると考え,学習内容を統合的・発展的に考え,それを基にした創造的な学びこそ「深い学び」であると実践してきた。本研究は,新学習指導要領の実施に向け,指導と評価の一体化により「深い学び」を実現する授業改善を考えることにした。中でも,現場で大きな課題となっている「主体的に学習に取り組む態度」に焦点をあて,この評価を生かした授業改善を研究テーマに設定した。(東研研究報告 No.322)