研究報告書を紹介しています。
公開日:2013年6月24日
公立小学校の校長です。6年3組では夏休み中に行われる林間学校のレクリエーションで使用する紙風船が,まだ仕上がっていないグループから放課後残って完成させたいとの申し出があったので,担任Yは居残りを許可しました。
担任Yは仕上げたグループには居残ることなく下校するようにと指示を出してから,学年会のために児童だけを教室に残して退室しました。
ところが既に紙風船を作り終えた1グループの児童の中のAが下校せず,レクリエーションのために先に作ってあった吹き矢を射かけ,紙風船づくりをしていたBの眼球に矢が刺さり,右眼を損傷させ視力の低下をもたらしました。
その結果,Bの保護者XからAの保護者への責任とともに学校(担任)の責任をも問われています。
このような場合に担任に責任があるかどうかを解説します。
公開日:2013年1月25日
公立小学校の校長です。5年生の児童たちが休み時間中に校庭でドッジボールをして遊んでいました。
その最中にAの強いボールを受けたBはバランスを失って転んでしまい,その際に右手首を骨折してしまいました。
そこで,受傷したBとその両親が,このような事故は予測できることであるからドッジボールの遊び方について十分指導していなかったと,担任,そしてその監督責任者である私に安全保持義務違反があったとして損害賠償を求めてきました。
このような場合に,担任や校長先生に損害賠償金を支払う義務があるかどうかを解説します。
公開日:2012年11月30日
公立小学校の校長です。4月下旬の1年生の生活科の時間で,朝顔の種を蒔く授業中のことです。 学級園の土と腐葉土を混ぜるために各自が「移植ごて」と植木鉢を持って,教室から校庭の脇にある学級園の前に集まることになっていました。 移植ごてを教室に忘れたAが教室に取りに戻ったところ,まだ教室にいた数名の児童とBが移植ごての入ったビニール袋を振り回して遊んでいました。 移植ごては先端が鋭利であったことから,ビニール袋が破れて,先端部分が外に出ていました。 この部分がちょうど教室に戻ってきたAの目に当たったため,眼球裂傷に至る大けがとなり,ついには完全に失明してしまいました。 授業中の事故と学校(担任)の責任について解説します。
公開日:2012年10月19日
私が校長をしている公立小学校には,小学校に入学以来,保護者の方針で音楽の授業がある日にだけ登校する6年生の児童Aがいます。
学校としては毎日登校させるようにと,何度も保護者への説得を試みたのですが,子どもの教育は家庭で責任を持つので,無理に行かせるつもりはない,と拒否され続けています。
出席日数が年間30日程度の児童を卒業させてもよいかどうか,法律的にはどうなっているのかを解説します。
公開日:2011年10月20日
私が校長をしている公立学校では全校一斉に「敷地内全面禁煙」が教育委員会より言い渡されました。その際,休憩時間以外の喫煙を認めず,休憩時間であっても敷地外に出る際には休暇を取らせるようにとの指導がありました。健康増進法が制定されて以来,受動喫煙防止対策のために校内でもさまざまな努力をしてきましたが,休憩時間中の敷地外での喫煙に対して休暇を取らせることの可否についてお聞かせください。
公開日:2011年9月20日
私が校長をしている小学校で,6年の担任A教諭から終業式の前日,「明日,年次有給休暇を取得したい。」との申し出がありました。そこで,終業式の日は教頭が担任であるA教諭の代わりに通知表を渡し,長期休業中の諸注意等をする態勢をとることにして休暇を承認しました。
ところが,A教諭の休暇理由はお気に入りのアーティストの遠隔地でのコンサートを見に行くことが目的と知った他の教員からは不満の声が漏れてきました。私としては,教頭が担任の代わりをできる状況では時季変更権を行使すべきではないと思い,休暇を認めました。しかし,A教諭の休暇理由を知った保護者からも後日学校に苦情が寄せられました。
年次有給休暇と時季変更権について法的なことをお聞かせください。
公開日:2011年7月21日
公立小学校の校長です。今年も夏休みの自由研究として児童から多くの作品が集まり,例年どおり多目的室を使用して展示会を行いました。本校では展示物の見学時間を各学年ごとに割り振っています。展示物の中には触ったり動かしたりしてもよいものもありますが,多くは見て楽しむものです・5年生の展示物の中にガラス製の万華鏡があり,多くの児童の関心を呼んでいました。この作品は手にとって楽しんでよいものでした。3年生が見学している時のことですが,関心の高い万華鏡だったので児童の間で奪い合いになり,結果的に床に落とし,壊してしまいました。学校としては被害にあった児童や保護者に謝ったのですが,保護者からは学校の展示方法や児童への指導に問題があったとして許してもらえませんでした。万華鏡の材料であるガラスはこの夏の海外旅行の思い出にと購入したもので,二度と手に入らない貴重な物であるとのことでした。その結果,保護者からガラス代の請求と貴重なガラスが二度と手に入らないことによる苦痛と夏の思い出を壊されたことに対する慰謝料を請求されました。このような場合,法律的にはどうなるのかお教えください。
公開日:2010年11月19日
私が校長をしている小学校で,ある宗教団体の信者である5年生の保護者から「学校で事故にあった場合は,応急手当を一切しないでほしい。また,病院で輸血をしなければならないような事態になっても,宗教上の理由で拒否するので,このことは固く守ってほしい」と申し入れがありました。保護者からそのような申し出があった場合には,学校は何もしてはいけないのでしょうか。また,子どもが輸血をしなければ死ぬかもしれないと分かっていても,病院は輸血をしてはいけないのでしょうか。5年生の保護者はふだんから連絡がとりにくく,万が一の場合を考えたら不安です。近々,宿泊を伴う移動教室も予定しているので,このような場合の対応について,法律的にはどのようになっているのかお聞かせください。
公開日:2010年10月20日
今年,本校に赴任してきた4年目のA教諭のクラスでは,保護者からいわゆる「学級だより」に関する苦情が私(校長)や教頭に寄せられるようになりました。それは小漢字テストの満点をとった児童名を「学級だより」に載せていたことです。特定の児童は何回も載るが,いつまでたっても載らない児童の保護者からの苦情です。苦情が収まらないので,私や教頭も出席して保護者会を開きました。そこで,担任は「励ましの意味とやる気を出して漢字の練習に取り組んでもらいたいために,頑張った満点の児童名だけを載せた」と,保護者会で説明しました。その説明に納得しない保護者からは管理職の責任をも問う発言がありました。そこで,教頭が「『学級だより』のことは担任の自主性に任せているので,その内容については詳しく知らない」と発言したために,「管理職はそれでよいのか」と,保護者会はますます紛糾してしまいました。
公開日:2010年9月28日
児童数650人程度の小学校の校長です。私が勤務している地域は教育委員会の方針で学校を自由に選択できることになっています。いわゆる学校自由選択制の自治体です。その関係で車やバスで通学している児童が約半数います。本校を選択して通学してもらえることは校長としてはありがたいことですが,いくつかの課題もあります。その例として,遠距離通学児童の登下校の安全の問題や,自宅に帰ったときに近所に友人がいないために校内での放課後遊びの時間の確保などです。教育熱心な保護者も多く,学校の帰りに塾に通っている児童も多数います。望ましいこととは思えませんが,学校選択制をとっている以上はやむを得ないこととしています。このようなことに関連して,本校では携帯電話のことで困った問題が生じています。